サラリーマンも知っておきたい!使える簡単な株価指標

この記事を書いた人

ライト

職業:上場企業で働く法人営業のサラリーマン

法人営業として東証プライムの上場企業をはじめとする数多くの企業との商談経験を持つ。サラリーマンとして働く傍ら、副業、株式投資、にも興味を持ち始め本ブログを開設。

『企業が書かない』×『社会人に役立つ』そんなビジネスコラムを記事にします。

記事に入る前に一言

株価や経済のニュースを見ていると、「PBRが1倍を割った」「PERが高水準」などといった言葉をよく目にします。しかし、普段のビジネスシーンではあまり使う機会がないため、聞き流しているサラリーマンの方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、企業で働く以上、「自分や周りの会社が市場でどう評価されているのか」を知ることは、仕事への意識や行動にも影響します。 また、転職先や取引先を評価する際にも、株価指標の知識は役立ちます。

ライト

本記事では、株価指標の中でも基本でありながら実用性が高い「PBR」と「PER」について解説します。数字に苦手意識がある方でも分かりやすくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株価指標で企業の何が分かる?

株価や株式指標も意識する癖をつけよう

日々の業務では目の前の数字や成果に追われがちですが、一歩引いて「会社が市場でどう見られているか」に目を向けることは、サラリーマンにとっても大切な視点です。

株価は日々変動するため一喜一憂する必要はありませんが、「株価指標」はもう少し本質的な企業の価値や成長性、将来への期待度を示すヒントになります。

たとえば、同じような株価の企業が2社があっても、市場での評価(割安であるか否か)は異なる場合があります。その違いを読み解くヒントになるのがPERやPBRといった指標なのです。

PERとPBRについて

PERとは

PER(Price Earnings Ratio)=株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)

PERは、企業の「利益」に対して、株価が何倍に評価されているかを示す指標です。より平たく言えば、「今の利益水準が続けば、何年で投資額を回収できるか」を表しているとも言えます。

たとえば、PERが15倍なら「15年で元が取れる」という見方ができます。PERが高ければ将来の成長が期待されており、低ければ現時点では割安と評価されているとも解釈されます。ただし、PERの高さだけで企業の「良し・悪し」は判断できません。将来の成長余地や業界の特性なども加味する必要があります。

Tips

PERの数値は利益の大小に大きく影響を受けるため、年度によって大きく変動することがあります。また、企業が赤字であった場合にはそもそもPERを算出できません。PERは株価が割安かどうか検討するのを助ける有効な指標ですが、時間軸を長めにとってPERの推移を確認するなど慎重な取り扱いも求められます。

ここでの1株あたりの利益というのは、配当ではありません。1株あたりの利益に配当性向をかけたものが「配当」になります。

PBRとは

PBR(Price Book-value Ratio)=株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

PBRは、企業の「純資産」に対して株価がどのくらいの倍率になっているかを示す指標です。純資産とは、会社が持っている資産から借金などの負債を引いた「正味の価値」とも言えます。

たとえば、PBRが1倍なら、株価は企業の純資産と同じ水準。1倍を下回ると「会社をまるごと買って資産を処分したほうが得では?」と考えられる可能性もあります。

つまり、PBRは企業の「解散価値」や「資産の割安さ」を測るモノサシです。

PER/PBRそれぞれの目安となる指標

PERの参考目安

PERは、15倍が一般的な目安とされます。これは「企業が利益を出し続ければ15年で元が取れる」水準と考えられているからです。

ただし、PERもPBRと同様に業界によって大きく異なるため、単純に数字だけで判断するのは危険です。

たとえば、ITやバイオといった成長期待が高い業種はPERが30倍以上になることもあります。一方、成熟したインフラ系企業などは10倍以下のこともあります。

したがって、PERは「その業界の中で高いのか低いのか」という相対評価が重要です。

業種PERの参考目安特徴
IT・テック系20〜30倍以上将来への成長期待が高く、PERは高め
小売・サービス15〜25倍安定成長なため、やや高めの評価がつく
製造業10〜20倍業種によって大きくバラつきあり
金融・インフラ8〜15倍成熟業種のためPERは低めに算出される

PBRの参考目安

PBRは、1倍が一つの大きな目安とされています。なぜなら、「純資産=会社の本来の価値」であり、それより株価が下回っていると、市場から過小評価されていると考えられるからです。

実際、日本取引所グループ(JPX)は、PBRが1倍未満の企業に対して改善を促す方針を示しており、経営陣も指標を意識せざるを得ない状況になっています。

ただし、資産型の企業(不動産業など)はPBRが低くなりやすく、IT企業などは軽い資産構成でも高評価される傾向があります。そのため、業種ごとにPBRの「適正水準」は異なります。

業種PBRの目安備考
銀行・保険0.3~0.7倍純資産が大きく、PBRが低く出やすい傾向
製造業(重工業)0.8~1.2倍設備投資が多く資産が大きいためやや低め
製造業(軽工業)1.0~2.0倍成長性が高い業種ではPBRも高くなる傾向
小売・外食1.5~3.0倍ブランド力や収益性が評価されやすい
IT・テクノロジー2.0~5.0倍成長期待が高く、資産より利益重視で評価
不動産0.5~1.2倍保有資産によるブレが大きい
電力・ガス0.7~1.1倍安定業種だが成長性が低くPBRは抑えめ

まとめ

PERやPBRといった株価指標は、一見すると専門的で難しそうに見えますが、株価に対する企業の利益/資産のウェイト」測る指標です。PERやPBRを意識してニュースや株価に目を向けることで、以下のような視点を得ることができます。

  • 企業が保有する資産に対して、株価はどう評価されているのか(PBR)
  • 企業の利益に対して、株価は割安か割高か(PER)
  • 市場はその企業に将来どのくらい期待しているのか
  • 自分が働いている会社や、転職候補先企業は「市場や投資家からどう見られているか」

仕事に直接関係ないように思えるかもしれませんが、経済や企業活動を俯瞰する力は、将来的にキャリアの武器になるはずです。ぜひ、ニュースや四季報を読むときに「この企業のPBRやPERはどのくらいだろう?」と気にする癖をつけてみてください。少しずつ数字の意味がわかってくると、企業を見る目も変わってくるはずです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

最後までご覧いただきありがとうございました
目次