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ライト
法人営業として東証プライムの上場企業をはじめとする数多くの企業との商談経験を持つ。サラリーマンとして働く傍ら、副業、株式投資、にも興味を持ち始め本ブログを開設。
『企業が書かない』×『社会人に役立つ』そんなビジネスコラムを記事にします。
BtoBのような企業間取引においても価格交渉はしばしば発生します。価格を下げたい気持ちが強くても、相手に嫌われたくない、関係を悪化させたくないという思いから、なかなかうまく交渉できない担当者も多いでしょう。価格交渉という行為には慎重さが求められます。お互いの立場やビジネスの将来を見据え、双方が納得できる形で価格交渉を進めることが重要です。
この記事では、そんな価格交渉に悩む担当者に向けて、スマートで円満に進む価格交渉のコツをお伝えします。決済権限を持つビジネスマンが直面している悩みを解決するために、具体的な行動指針を示します。
価格交渉が難航してしまうNG行動
私はBtoBの法人営業マンとして10年近く現場で働いており、値引き交渉を受けることもしばしばありました。これまでの私の経験から「こういう価格交渉は難航してしまう」という価格交渉時のNG行動があります。まずはそのNG行動を2つほど紹介します。
ゴールや根拠のない漠然とした値下げ交渉
まず紹介するNGな価格交渉は「とりあえず価格を下げてほしい」と、ただ漠然と値下げ要求を突きつけるタイプの価格交渉です。「良いものをできるだけ安く購入したい」という心理は多くの人が共通して持っているものですが、その価格交渉の背後に明確なゴールや理由がない場合、営業マンとしては値引きの必要性を感じることができません。その結果、期待するような返事がもらえないだけでなく、お互いに無駄なリードタイムが発生してしまいます。
相手の出方を探るような価格交渉ではなく、具体的に価格交渉の希望と理由を伝えることがスマートで円満に進む価格交渉のコツです。
値下げ要求を複数回にわたって行う
値下げ交渉は基本的に1回で完結させるべきです。頻繁に値下げ要求をすることは、営業担当者から見て「この人は信頼できない」という印象を与えるリスクがあります。相手に不信感を抱かせ、長期的な関係にも影響を与える可能性もあるので複数回の価格交渉は控えた方が良いでしょう。
値下げ交渉は基本的に1回で完結させるべきですが取引が長期に続く場合は、価格交渉が複数回になる場合もあります。そういった場合は年度の切り替え時期に次年度の価格交渉をおこなうなどタイミングも考えて戦略的に価格交渉をおこなうのが、より良い結果を引き出す鍵となります。
効果的な価格交渉のコツ
次に、実際に価格交渉をスマートに進めるための具体的なコツをいくつかご紹介します。単に「値下げしてほしい」というだけではなく、相手が値下げ交渉を検討するメリットも考慮した交渉をおこなうことが鍵です。
ボリュームディスカウントでの値下げ交渉
値下げの理由が明確で、相手にとっても利点がある場合、価格交渉はスムーズに進むことが多いです。「大量購入をすることで割引を得られる」という形で交渉するのは効果的です。たとえば、「〇〇個購入すれば〇%のディスカウントをお願いしたい」と具体的な提案をすることで、相手も検討しやすくなります。
ボリュームディスカウントは、お互いに利益を得ることができる交渉材料として非常に有効です。
妥協できるポイントがあれば共有しておく
交渉の際、自社が妥協できる条件を事前に考えておき、それを相手に提示することも有効です。たとえば、納期や支払い条件など、価格以外の部分で柔軟に対応できるポイントを伝えることで、相手にとっても交渉の余地が広がります。
「納期は多少遅れても問題ない」「支払い方法に柔軟性がある」といった条件を共有することで、双方が納得できる条件で契約が成立する可能性が高まります。
概算でも予算があるなら初めに伝えておく
交渉をスムーズに進めるために、最初に予算感を明確に伝えることも大切です。相手に予算の上限を伝えることで、無駄な交渉を避け、短時間で取引の合意に達することが可能になります。
特に、BtoBの取引においては価格交渉は契約成立の鍵を握る重要なプロセスです。予算が明確であれば、営業側も適切な条件を提示しやすくなり、有意義で建設的な話し合いができます。
値引きに応じない会社があることも忘れない
価格交渉に臨むにあたり、すべての企業が値引きに応じるわけではないという現実はあらかじめ理解しておくことが大切です。企業によって価格戦略は異なり、値引きが難しい場合があります。それは、企業の方針やマーケット戦略に基づいたものであり、交渉を通じて必ずしも値引きを得られるとは限りません。
そのため、最終的には、自分が支払う価格に対して得られるメリットをしっかりと判断し、値引きがなくても取引を進めるかどうかを決定することが重要です。
価格交渉はいかに相手に期待させるか
値引き相談をした時、即決で値引き要求が通ることは稀でしょう。基本的に価格交渉をおこなった際は、営業担当者と直属の上司の間で相談が発生してします。この相談プロセスを通じて値引きの可否や金額が検討されます。ここで考慮される主な項目は以下の通りです。交渉する際の参考にして下さい。
- 発注確度:この顧客が実際にどの程度発注を決めているか(値引きをすれば確実に発注が成立するのか、それとも交渉の余地があるのか)
- 将来的な取引の可能性:この顧客との関係が長期的に続くか、将来的にさらなる取引が期待できるか
- 売上規模:この取引が会社の売上にどれほど寄与するか
- 利益率:値引きを行った場合、利益率がどれほど圧迫されるか
③④はコントロールするのは難しい部分になるので、①と②についてできるだけポジティブな情報を提供し相手に自分との取引を期待/イメージさせることで、思い通りの価格交渉になる可能性は上がるでしょう。
まとめ
企業間で発生する価格交渉は、繊細で戦略的なプロセスです。漠然とした要求や頻繁な値下げ交渉は避けるべきであり、ボリュームディスカウントや妥協点の提示など、相手にとってもメリットのある提案をすることが鍵です。また、予算を明確にし、値引きが難しい企業が存在することを理解して交渉を進めることで、双方にとって満足のいく結果が得られやすくなります。