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業界において市場シェア第一位のリーダー、第二位(第三位)のチャレンジャーのように市場においてある程度のプレゼンスを示す企業に対し、市場シェアの確保が進んでいないニッチャー/フォロワーはどのように営業戦略を立てれば良いのでしょうか。本記事は競争地位戦略におけるニッチャー/フォロワーの戦略に焦点を当ててみます。
市場シェアと競争地位
企業が経営戦略を考える上で市場シェアを分析していくことは非常に重要です。一般的に企業の競争地位は市場でのシェアに応じて「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロワー」の4つに分類することができます。競争地位戦略はフィリップ・コトラーが提唱した戦略で、企業は自らの競争地位に基づいて戦略を実行すべきと主張しています。
ニッチャー/フォロワーの定義
ニッチャーな企業は?
ニッチャーとは、リーダー企業のような市場全体のニーズをカバーするのではなく、特定の事業領域やニッチな市場をターゲットとして営業戦略を立てる企業を指します。ニッチャー企業は、量的経営資源は少ない一方で質的経営資源は大きい傾向にある企業であり、大手企業が見過ごしがちな特定のニーズや要望に対応することで、独自の市場ポジションを築くことができます。
ニッチャーとしては、レーザーテック、マニー、フルヤ金属などがあげられるかと思います。これらの企業は経済産業省が選ぶ「ニッチ分野において高い世界シェアを有し、優れた経営を行っている」グローバルニッチトップ(GNT)企業に選出されています。ニッチ企業なだけあって、確かに普段の生活ではあまり聞き馴染みのないメーカーかと思います。
フォロワーな企業は?
フォロワーとは、市場内でリーダー企業(市場シェアや影響力で業界をリードする企業)に追随する立場にある企業を指します。フォロワー企業は、量的・質的ともに経営資源の少ない傾向にある企業であり、リーダーや周りの企業動向や戦略を注視し、それに応じて自社の戦略を調整することで競争力を維持することを目指します。
フォロワーとしては、アイリスオーヤマを例にあげることができるのではないでしょうか。アイリスオーヤマの事業内容は生活用品の企画、製造、販売で、市場シェアはそれほど高くありませんがライバル企業の動きに合わせた巧みな経営戦略によって市場に残り続けています。実際のところ、リーダー、チャレンジャー、ニッチャーに該当しない企業は自動的にフォロワーと考えられますので、市場に存在する大半の企業は恐らくこのフォロワーになります。
ニッチャー/フォロワーが取るべき戦略
ニッチャーの取るべき戦略は、ニッチな市場に特化した戦略的アプローチになります。ニッチャーとして成功できるか否かはニッチ市場に対する深い理解とマーケティング、そしてその特定分野における高度な専門知識や技術に依存します。高度な専門知識や技術を有していれば、他の企業が模倣しにくい独自の価値を顧客に提供でき、ニッチ市場において持続的な成長と競争力を維持することが可能です。
フォロワーは戦略を複合的に用いて経営をおこないます。具体的にはコストを抑え、他社の成功事例を模倣するということをスピード感を持ってやっていきます。フォロワーは量的・質的ともに経営資源の少ない傾向にある企業のため、潤沢な広告宣伝費や研究開発費などは期待できません。そのため、(一部差別化戦略はあるものの)基本的には市場の競合他社の製品/サービスを模倣し、より低価格で販売することで市場シェアの獲得を目指します。
まとめ
ニッチャー/フォロワーの戦略について取り上げましたが、いかがだったでしょうか。ニッチャーは名前からもある程度戦略の想像ができますが、フォロワーの取るべき戦略については想像が難しかったのではないでしょうか。フォロワーの例として紹介したアイリスオーヤマは毎週月曜日「新商品開発会議」をしているようです。毎週というペースで新商品開発会議をしているのは驚きです。フォロワーとして市場に生き残り且つ成功するにはそれ相応の経営努力が必要ということが分かります。
自らの置かれた立場で最大限の成果を出すことを考えた結果が競争地位戦略になるのね。企業によっては経営戦略が置かれた立場に先行して、結果として市場でのポジションが決まることもありそうだけど・・・。「卵が先か鶏が先か」その視点で考えてみるのも面白そうだね。