本記事ではリモートワークの普及とともに注目され、多くの企業でも導入が進んでいるフリーアドレス制をテーマに取り上げます。皆さんは職場に自分の席が欲しいでしょうか?今回の記事を読んでフリーアドレス制のメリットデメリットや自分の業務との相性について一度考えていただけると幸いです。
フリーアドレス制とは?
フリーアドレス制(英語圏ではhot-desking system)とは、従来の固定席を廃止し、社員がその日の気分や仕事の内容に応じて自由に座席を選べるオフィス形態のことを指します。これはオフィスの柔軟性を高め、効率的な業務遂行を可能にするための革新的な取り組みとして、多くの企業で注目されています。特に、テレワークやリモートワークの普及とともに、オフィスの在り方を見直す動きが加速しており、フリーアドレス制はその一環として導入されることが増えています。実際に私の働く会社でも2年ほど前からフリーアドレス制を導入しています。
フリーアドレス制の普及率とオフィスへ導入する課題
フリーアドレス制の普及率は業種によっても異なりますが、特にIT企業やクリエイティブ業界を中心に広がっています。2020年代に入り、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが一般化する中でオフィスの柔軟性を求める声が高まり、フリーアドレス制の普及はさらに加速しました。
フリーアドレス制の導入にはいくつかの課題も存在します。
- 帰属意識と仕事環境
固定席であれば、自分専用のデスクや個人の物を置くスペースが確保されており、落ち着いて仕事ができるという心理的なメリットがあります。フリーアドレス制ではこれがなくなるため、人によってはフリーアドレス制への適応に時間がかかることがあります。 - 社内ITインフラ
フリーアドレス制を導入するには社内のITインフラの整備が必要となります。社員がどの席に座っても業務をスムーズに行えるようにするためには、無線LANの整備や、ノートPCの導入、クラウドサービスの活用などが必要です。これらの環境を整えるにはある程度の初期投資や維持費がかかるため、中小企業にとっては導入が難しい場合もあります。 - コミュニケーション
コミュニケーションの課題も考慮しなければなりません。フリーアドレス制では、席が毎日変わるため、チームメンバー同士の連携が取りづらくなる可能性があります。これを防ぐためには、チャットツールやビデオ会議システムなどのデジタルコミュニケーション手段を活用することが求められます。
フリーアドレス制のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
スペースの有効活用 オフィスの無駄なスペースや固定席を削減することで、コスト削減やスペースの有効活用につながります。 コミュニケーションの促進 毎日異なる席に座ることで、普段あまり接点のない社員と自然にコミュニケーションが生まれ、情報共有や新しいアイデアの創出につながることがあります。 クリーンデスクが徹底される 自席が無くなることでデスクの周りに置く荷物も最小限となり自然と整理整頓するようになります。 | 心理的な不安 毎日異なる席に座ることに対して、ストレスや煩わしさを感じる社員もいます。 個人スペースの確保 個人の物を置くスペースが限定されるため、個々の作業環境が確保しづらくなることがあります。ロッカーや収納スペースの確保が求められます。 チームの連携 席が固定されていないため、チームメンバー同士の連携が取りづらくなる可能性があります。 |
フリーアドレス制を導入後のリアルな感想
フリーアドレス制について、個人的には在宅勤務やフレックスタイム制ほどの恩恵を感じ取れていないのが正直なところです。以下に私のリアルな感想を述べていきたいと思います。
- 固定席の時にはあった袖机がなくなったため、電卓や筆記具など備品をいちいち持ち運ぶことが地味に面倒です。毎朝ノートPCと充電器、業務に必要な備品を携え朝は小さな引っ越しかと思うくらい荷物を持っていく必要があります。
- 「フリーアドレス制」と聞こえは良いけれど、結局のところ席は3マス程度しか動きません。フレックス制度も始まり3ヶ月もすれば周りで一緒に業務する人も大体固まってきます。そうすると「コミュニケーションの促進」も期待するほど効果がありませんでした。
- 座席表が無いので、電話の取り次ぎや在籍確認が少々面倒になります。在宅勤務、フレックス制度も併用している会社の場合は「今日は出社しているのか、どの席で仕事しているのか」の特定がさらに難しくなります。
- ただ、相談したい時にノートPCさえ持って行けばすぐに小MTGや相談を始められるのは確かに良かったです。WEB会議を設定するほどではないけど、ニュアンスも伝えたい話がある場合はフリーアドレス制だと便利です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。フリーアドレス制は、現代の働き方改革やリモートワークの普及に伴い、オフィスの柔軟性を高めるための有効な手段として注目されています。そのメリットとしては、柔軟性の向上、スペースの有効活用、コミュニケーションの促進などが挙げられますが、一方で、心理的な不安や個人スペースの確保、チームの連携といったデメリットや導入課題も存在します。結局のところ、自分たちの働き方や業種に合うかどうかという点が一番大切です。
上記の「リアルな感想」でもお伝えしましたが、現在のところ私自身は世間で騒がれているほどフリーアドレス制のメリットを感じられておりません。ただ、フリーアドレス制を含む働き方改革は過渡期を迎えているように思います。今後、フリーアドレス制のメリットを最大限に引き出す工夫や仕組みが確立されることを期待したいですし、私自身も考えていきたいと思います。
フリーアドレス制にすることで色んな人と接点は増えそうな反面で新入社員や中途社員は周りの名前や顔を覚えるのに苦戦しそう💦